プロローグ:鎖に繋がれた欠落者は英雄の夢を見るか

僕達の住んでいた世界は、かつて何もかもが縛られている世界だった。
生命体はあらゆる可能性を縛られる。
誰もが皆、定められた運命に抗うことすら許されず、ただ言われるがままをこなすだけ。

そんな世界が大きな変化を迎えたのは三千年前、世界統合によってこの世界もまた、ほかの世界と繋がってしまった。
それでも、その後二千年近くは何一つ変化が無かったというのだからおかしな話だ。

大きな変革が起こったのが500年ほど前、世界の秩序に反感を持ち、一部の人間がシステムに反旗を翻した。そして、彼らは自分たちをカオス、混沌の軍勢であると名乗った。
それに対してシステム、体制側はロウ、秩序の軍勢を用意、反乱鎮圧を開始する。

そして、500年たった今でも、彼らの戦いは続いている。そも、何をすれば終わりになるのか、きっと誰もわかっていないんだろう。



その日、僕の住む世界で大規模な戦闘が起こった。
かつての秩序を取り戻さんとするロウ、更なる混沌を撒き散らさんとするカオス
二大勢力のギリギリの状態で保たれていた均衡が破られ、仮初の平和に浸かっていた世界は終わりを告げた。

まだ幼い妹の手を引き、必死に逃げた。彼らは世界の為とは言うが、決して世界に住む者達のことは考えてはいなかった。
だから、巻き込まれでもすれば確実に死んでしまう。

だが、所詮子供の身体能力ではすぐに限界が来る。僕も、妹も、朽ちかけた家屋の中で蹲り怯えることしかできなくなってしまった。
周りでは徐々に爆音が大きくなる。聞こえる悲鳴が増え続けている。

せめて妹だけでも、そう思い彼女を逃がすために囮となることを決意した。
勿論、結果は見るも無残なものとなる。妹は逃がせたものの、僕の身体は傷だらけになり、目の前には巨大な怪物。
死を覚悟し目を閉じた。その時、

大きな爆発音とともに目の前にあった壁が吹き飛び

光、そう形容する他ない"英雄"が、目の前に現れた。
その英雄は、怪物と戦っていた。一歩も引かず、真っ向から立ち向かい打倒した。

ーーーこれが、僕というただの子供が、本物の運命に出会った瞬間。
そして、人から鬼へと終わった瞬間。

これは、光の英雄を打倒するために、一人の青年が剣鬼へと至る可能性の物語。

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