「はあ…」
「どうしたんだよオヤジ」
「ため息ぐらい吐いてもいいでしょう?蓮太郎」
ブラックスーツの男二人が、喫茶店の席で食事をとっている。
一人は、『死神』か『吊られた男』もかくやの目つきの悪さをした男。
向かいの席に座るもう一人は、胡散臭さMAXどころかハイパー胡散臭い男。
男の名は藍原羽間ハザマ、藍原蓮太郎の父である。
「聞いてくださいよ…君と同じ中学で友達だったナツメ君いるじゃないですか、その子が性転換しましてね…」
「へェーそぼふッ」
あんまりにもあんまりな友人の近況報告を父から告げられ、蓮太郎はお茶を噴出す。
「んで、モノは相談なんですが―――――――ちょっと蓮太郎、嫁、欲しくないですか?」
「待った、頭が、ずのうしすうがヤバい」
「いやまあ、棗君なんですがね…彼自身に自覚は無いんですが、もともと『ソッチ』のケが有ったらしくてですね…んで手違いでエロダンに突入して、TSしたその日に即座にウチに来て――――――――」

『―――――――TSって、素晴らしいですね』

「―――――――と、いろんなものがすっ飛んだ笑顔で縁談を持ち出して来まして…それであれよあれよという間に…」
「知りたくなかった友人の性癖ィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」


蓮太郎は頭を抱える、どうしてこうなった。
どうして手違いでエロダンに突入した友人がTSにドハマリしてアヘ顔ダブルピースになった後、俺のところに縁談を持ってくるんだ。
え?というか、中学の頃常々感じてた恐怖の疼きを味わわせるような熱視線ってアイツから?
まさかの野獣の眼光?モト劇場ならぬナツメ劇場?
「だ、大丈夫ですよ!棗君『藍原君の46cm砲なら喜んで!』って言ってましたし!」
冷や汗だらだらでフォローになってないフォローを入れる父。
何時もならペラペラとおしゃべりだが、口数が多くなっているあたりガチ焦りしていると見ていいだろう。
「余計心配になったわ!つーか何時の間に計ったんだ!?」
『えと、プールの時かな?』
「あのときかよ…そういや視線がネットリ度マシマシだっ――――――――――」
テーブルに突っ伏し、頭を掻き顔を上げようとする蓮太郎の背後から声がかけられる。
涼やかな――――それでいて落ち着いた――――――――――どこかで聞いたような――――――――――――。
『久しぶり、藍原君』
「………………ドチラサマデスカ?」
ギギギ、と油を注していないブリキのおもちゃのような動きで、蓮太郎は声を辿る。
声の主は、インディゴブルーの髪をポニーテールにまとめ、豊満な肢体を学生服で包んだ美少女がいた。
まだだ、呼び方とかアレだけどまだそうだと決まったわけでは――――――――――――!
『私、棗だよ?棗真衣マイ
「ホァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?ホアッ!?ホ、ホッ!?ホアアァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
にへら、と愛らしく笑む棗(♀)に対しムンクの『叫び』のような顔で蓮太郎は猿叫をあげた。



次回「蓮太郎(人生の墓場的な意味で)死す」。多分続かない!





シグナルコウカーン!オマーケ!

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