昔々あるところに一人の青年がおりました
その青年はどこにでもいるような普通の人生を送っておりました。
今日も青年はごく普通に学校に通い帰路に付く最中です

ところが唯一ついつもと違っていたのは世界が滅んだということでした
正確には滅びの幕開けです、遠い異国の地に現れた人類の敵
そのただ一人の存在によってゆっくりと長い時間をかけて世界は滅んでいきます

世界の裏側で崩壊が足音を刻んでいても青年の日常は変わりません
ごく普通に学校を卒業し、科学者としての道を歩んでいきます

彼は科学者になると若くして才覚を示して成果を上げてゆきます
限られた物資に限られた人員、そんな中での研究ですが彼はめげません
新分野の開拓にも成功しますが世界を震撼させるには程遠く、知る人ぞ知るというものでしょうか


 そんな研究に没頭する日々の中で青年は一人の女性に出会います
青年が話を聞くところその女は一切の記憶がなく身元も分からない様です
大通りに捨てる訳にもいかず、青年はどうしたものかと困ってしまいました
かくして二人は一緒に暮らすようになります、小さな出会いは世界に何の影響も与えません

二人は遠出することもなく、小さな研究所で慎ましく過ごしていきます
時に笑い時に泣き、またある時は大事件が巻き起こりました
それでも二人は常に寄り添い、いつしか二人は結ばれることとなりました

世界の人口が100万人を切った頃でしょうか、二人の間に娘が生まれます
無事に産まれるのかどうかも危ぶまれるほどの娘でしたが無事に産まれました
三人はこれまた時に笑い時に泣き、穏やかな日々を過ごしました


 しかしここで転機が訪れます。女の寿命が尽きようとしているのです
元より人ではないその身には長い歳月でした
二人は悲しみながらも見送ります。時間は待ってはくれません

男と娘の二人は時に笑い時に泣き、一緒に研究をして過ごしました
そしてついに画期的な発明をすることに成功したのです
これには二人も大変喜びました。しかし時間がありません


男は思います、どうか娘だけでもと
娘は思います、託された愛情の重みを


世界の人口が5000人を切った、綺麗な流星煌くそんな冬の日でした




砦/A区/瓦礫の山


『お父さん……?』


戦闘が終わったとみて様子を見に来たけど……
地面の炭化した本以外になんにも残ってないか


『倒したんだ……何もかも終わってしまったんだ』


そう言ってボロボロになった本に近付こうとして止まる
何でこんなに嫌な予感がするんだろう?


「こんばんは一花さん、それとも最後の人類とお呼びした方が?』

『……こんばんは』

「驚かないんですね、てっきりもっと何か言うものかと』

『そうは見えないだけでとても驚いてるよ』

「では今すぐ驚けなくしてあげましょう
 あっけない幕切れと言うのもそれはそれでらしいですし』

『……何で生きているんです
 いや、世界を蹂躙したEOHはこの程度で倒せないと言うことですか』


持っていた大鎌を構えて突き付ける
お…重い……けど頑張って威嚇しなきゃ


「何で生きているのか
 それはパンドラの箱の中に入れておきましょう』

『まともに答える気はないと』

「ええ』

『それでもう終わりですか』

「さよなら』


 言うや否や相手はその背後から光球を幾つも出してきた、が遅い
全力で背後へ飛んで装置の起動を待つ
倒せはしなかったけど時間稼ぎは出来たんだ、間違いなく


『さよならです』


そう一言いうとボクは世界から消えた
まるで最初からいなかったかのように



そんな少女の話はまだまだ続く 

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