誰が正しい?どなたが悪い?

我が子を疎みて捨てた親?愛求め肉親追い込む娘かな?

問いはここに、答えは何処へ

これより一つの結末を



夏休み、私は故郷へと帰る。それは育った孤児院に帰るためではなくて、母親と会うために。

「確かここら辺だった筈だけども。……あそこかしら?」

初めて訪れた町だから迷ったけれども住所を記したメモと地図を見ながら探すこと数時間。何とか1つの建物へと辿り着いた。
そこは古びた赤レンガのアパートで内装もまた外観相応に薄汚れている。
階段を一段また一段と上がるたびに心は期待と不安で悲鳴をあげている。

「大丈夫。一生懸命、思いを伝えれたらきっと分かってくれるわ」

ドアの前でそう呟き深呼吸をする。そして……玄関ブザーへと腕を伸ばした。
シンとしたアパートの空間に音が鳴り響く。

「はーい。ちょっと待ってて、すぐ開けるから」

キィっと音がし扉が開いた。現れたのは1人の女性。
記憶にある彼女と比べると別人のように変わってしまっていたけれども私にはすぐにわかったわ。
だって何年も会っていなくても私が彼女のことを忘れるだなんてありえないのだから。

「ママ、こんにちは!やっと会えたわね!」
「………え、えーっとどなた?私には娘なんていないのだけれども」

私を認識したママは笑顔から怯えたような困惑したような表情に変わったわ。なんでかしら?

「うふふ!やーね、ママ!!毎年、母の日にもクリスマスにもママの誕生日にも手紙送ってたじゃない!
あ、でも十五年ぶりくらいだから分からないのも仕方ないわね。
私、ライムよ。れっきとしたママの娘よ!」

私はママににっこりと笑いかけたわ。だって出会えたことが本当に嬉しかったのだもの。

「あ……ああ。うんライムね。よ、よくこんなところまで来たわね。けれども私は貴女を捨てたの。私と貴女はもう無関係。
だから…か、帰ってくれないかな?」

それは拒絶の言葉だったわ。どもりながらもはっきりと言った言葉。
昔はこの言葉を聞いて傷心のまま帰ってしまったけども……今日は。今の私は折れないわ。

「そんなこと言わないでよ、ママ。少し。少しだけお話しがしたいだけなの。
だから、ね?お願い、ママ。家に入れて。」

私の言葉にママは押し黙って何か考えているかのように目が動く。
静寂がその場を支配する。

「……少しだけよ。少しだけ話したら帰って。
それでこれっきり私に会いに来ないでちょうだい」


部屋の中へと入る。部屋を見回すとそこには生活に必要な最低限のものしか置いてなく、有り体にいえば貧しい様子が見て取れた。
これは私がしっかり養ってあげないと。なんて思っていたらママは業を煮やしたのか口を開く。

「…………はやく言いなさいよ」
「あ、うん。えっとね、私ね今、神賽学園で勉学に励んでいるの。
それでね、まだみんなと比べるとまだまだだけども色んなことができるようになったの!
例えばね、芸をしてみんなを笑わせれたり、放送の司会だってしたりとか───」
学園に入ってからのエピソードを話す。放送部に入ったこと。ダンジョンでした冒険や強敵と戦ってなんとか生き延びれたこと。
バイトの舞台で行った話芸が大成功した話とか色んなことを私は話したわ。
ママはそれをじっと聞いてくれていた。

「……それで私に何が言いたいの?ただ成長したというのを伝えたかったのならいい迷惑よ。
さっさと帰ってくれない。」

「あ、ごめんなさい。それでね、えっと……伝えたいことというのは、その………い、一緒に暮らさない?」

ママの顔が凍りつき数歩後ろに下がった。
そんな驚くことだっただろうか。なら安心させなきゃ。

「ほら、今の私だったらママも笑顔にさせれるわ。その自信あるのよ」
「お願い、黙って」
「それに将来、学園を卒業できたらもっとママに楽な生「黙ってって言ってるでしょ!!」……ママ?」

ママは右手中指につけていた指輪を拳銃に変化させてこっちに向けた。
その指輪はボックスウェポンの一つだったのだろう。
でもなんでそんなものを私に向けるのか。その理由が分からず私はキョトンとしてしまった。

「なんで私をつけまわすの?ねぇ、私は貴女のこと捨てたじゃない!
もう他人だってあの時も言ったわよね!!
私の住所、一度も教えたことないのに何度引越しても毎回毎回毎回毎回手紙送ってきて!
手紙も受け取るの拒否したわよね!何度も送り返したわよね!
それで気付きなさいよ!それで諦めなさいよ!!」
「だって…だって……それでもママは私のママだから。いつか分かってくれるって」
「分かるわけないじゃない。分かるはずがない!
どうしてアナタみたいなバケモノを分かれというの?」

「私の人生を無茶苦茶にして!何をしても離れようとしないバケモノめ!!
お前の機嫌を損ねてしまったら何をするかも分からない!!だってお前はお前たちは私たちよりも遥かに強い力を持っているのだもの!!
…………ねぇ、そんなものと誰が一緒に居続けたいと思うの?」

「ええ。ええ。居ないわよそんな奴。気が狂っているか同じバケモノでないとそんな奴いるわけがないわ。
こんなことなら……こんなことになるのなら………!」


「あなたなんか産まなければよかった」





そして拳銃から弾丸が飛び出してきた。









そのあとどうしたのか私は覚えていない。
気づいたら世界間移動列車に乗って神賽世界へと向かっていた。
私は……私は………どうすればよかったのだろう
ただママと一緒に暮らしたかっただけなのに



親が悪い。子供が悪い。結局、どっちも悪いのさ!

親は子を捨てなければよかったのに。

子は現実を見て諦めればよかったのに。


そうすればそうすればこんなに傷つかずにすんだのにね。







セカイ・ウェスト
ライムの実母。
明るく活発な性格をしているが自分勝手で精神的に脆いという一面を持っている。
また冒険者という逸脱者に対して恐れを抱いている。
ライムを捨てた後、普通の暮らしを送っていたがその五年後ライムが家に訪れた時から彼女の人生は狂い出した。
毎年のように送られるライムからの手紙。
それを嫌って引っ越しても彼女からの手紙は必ず届き、中身を読むとセカイの生活ぶりについても知っているかのような記述までされていたことから彼女に対して恐怖を覚える。
何をしてもどこに逃げてもライムから逃れられない恐怖。精神的にも参ってしまっていたところに今回の件が起きてしまったのだった。
ステータスは非戦闘が平均10。戦闘用となると平均5というまぎれもない一般人である

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