我が世界において、ここ数百年の間に出現が確認されている異端者。
世界の鎖から解き放たれた怪物を■■と呼ぶ。

彼らは皆一様に特異な力を一つ持っている。
強大な魔物を一撃で屠る膂力、触れたものを殺す腕、様々な事象を見通す目など。

奴らに対抗するための手段が多く考えられたがそのどれもが決定打とはなっていない。

だからこそ我々は人工の■■を作ることにした。こちらに所属する■■である彼を使い無辜の民の人生を捻じ曲げる。
■■は他者の運命を捻じ曲げ新たな■■を作るという眉唾物の噂だが、事実そういう例も無い訳では無い。試してみる価値はあるだろう。

近いうちに大きな戦がある。そこに彼を解き放ち、多くの人々を救わせよう。
彼もこの件には了承している。どちらにせよ、逃げ惑う人々を救わないような男ではない。

あぁ、どのような結果になるのかが楽しみだ。
願わくは、彼のような英雄を、一人でも多く生み出してくれることを願おう。
一人二人さらって見るのもいいかもしれない。

──■■研究者 ■■■■■・■■■■■



一人の男が手記を閉じると席を立つ

「さて、それでは研究を続けよう」

彼の背後には大小様々なポットが存在し、その中には老若男女問わず多くの人々が浮かんでいる。
だが、その半数以上が恐らく生きてはいないだろう。中には朽ち果てる寸前のものまである。

「時間が無い。今度こそ、ものになればいいのだがな」

彼が目を向けるその先には、一人の少年が浮かんでいた。

「目が覚めた時君は多くを失っているだろう。ここでの記憶や、あるはずだった寿命、君の夢」
「だけど心配するな、君は失うものよりも多くのものを得るだろう。名声、強さ、賞賛、とても多くのものをな」

ポットに浮かんでいた少年が目を開く。
それを見て男は笑みを浮かべ、こう告げた。

「喜べ少年──君の未来は英雄だ」



「・・・・・・・・・・・・夢か」

たまに見る夢、薄暗く死臭しかしない部屋の中で記憶を、精神を、肉体を蹂躙され、自分が自分でなくなってしまう、そんな夢。

「・・・・・・うっげぇ!げほっ、げほっ」

洗面台に駆け込み、勢いのままに吐瀉物を吐き出す。今日もまた、血が混じっている。

「はぁ、はぁ、ひどい顔だよ・・・」

身に覚えのない映像、夢のことだと一笑に付すことが出来ないのは、身体が恐怖で竦むから。
だけど、切り替え方も心得ている。

「・・・・・・・・・よし」

こういう時は運動して、酒を飲み、美味しいものを食べるに限る。
友人達との交流もいいかもしれない。

「今日も一日頑張りますか」

そうだ。どこまでいっても、あんなものは夢でしかないのだから。

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